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再生可能エネルギーの新しい可能性「極低照度型光発電素子」と「無色透明発電素子」

 大気汚染や資源の枯渇の問題は、長きに渡り人類の重要課題であり続けている。それらの課題に対する解決策として期待されていた原子力発電も、東日本大震災時に安全面のリスクや莫大な撤去コストなどが露呈してしまったせいで、人類は新たな解決策の模索を強いられるようになっている。

 そのような背景から、解決策の一つになり得る再生可能エネルギーに、一層の注目と期待が集まるようになっていて、技術の進歩も一段と早くなっているのだが、日本における再生可能エネルギー比率は10%未満に留まっている。

 普及が進まないのは、以下のような制約があるからだろう。

  1. 発電量が天候などに左右されること
  2. 設置できる場所が限定されること
  3. エネルギー効率が悪い故に大規模の用地・施設が必要になること
  4. まだ技術が発展途上であり大量生産体制が十分に整っていないがために設備生産・設置のコストが高いこと

 世界中の再生可能エネルギー関連会社は、上記した1~4の制約を解消するための研究・開発を続けている。日本のベンチャー企業「inQs株式会社」も同様であり、「inQs株式会社」が開発した「極低照度型光発電素子」と「無色透明発電素子」は、その制約の一部を取り除いたものになっている。

 「極低照度型光発電素子」は、照度の低い環境下でも発電可能な光発電素子だ。太陽光電池は、太陽の可視光部分のみを吸収して発電するが、「極低照度型光発電素子」は、紫外光や赤外光という目に見えない波長も拾って電力に変えられる。

 曇りや雨の日にも発電できるという意味で制約1に対応しており、設置場所を太陽の照度が高い場所に絞られないという意味で制約2に対応していると言えよう。

 「inQs株式会社」は、「極低照度型光発電素子」を適用したセンサーの販売を開始している。配線しづらく電気の供給が難しい場所にセンサーを設置することが可能になり、「IoT」技術をより幅広い場所で使えるようになるという。

 一方の「無色透明発電素子」は、言葉通り、無色透明な光発電素子だ。無色透明であるため、ガラス張りビルの外壁やお家の窓、車の窓などにガラスの代わりとして使うことができる。別途パネルを設置するための場所を設ける必要がないので、制約3に対応していると言えるだろう。

 個人的には、「無色透明発電素子」の方により興味がある。スマホの液晶を保護するための保護フィルム(強化ガラス)を「無色透明発電素子」で作り、発電した電気をワイアレス充電でスマホに供給する商品を作れないかなぁ、といったような想像をするだけで楽しい。今後、どんなところに適用されていくかが楽しみだ。

 

「極低照度型光発電素子」メモ

  • 日本のベンチャー企業「inQs株式会社」が開発した、照度の低い環境下でも発電可能な光発電素子。
  • 太陽の可視光部分のみならず、紫外光や赤外光といった幅広い波長も拾って電力に変えられる。
  • センサーに適用することで、電気の供給が難しい場所にセンサーを設置することが可能になる。

 

「無色透明発電素子」メモ

  • 日本のベンチャー企業「inQs株式会社」が開発した、無色透明な光発電素子。
  • 見た目や採光、遮熱効果がガラスとほぼ変わらないため、ガラスの代わりとして利用可能

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「極低照度型光発電素子」を適用したセンサー

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「無色透明発電素子」で作ったパネル

 

1台で275本分の木に相当する空気清浄効果を発揮「シティ・ツリー(CityTree)」

 数年前の年末年始に、久しぶりに中国の北京を訪れた。学生時代に語学留学で3ヵ月ぐらい滞在していたこともあり、私にとっては思い出の街であり、好きな街の一つである。ちょうど親友が駐在していたので約7年ぶりに行ってみることにした。

 久しぶりに訪れた北京は、依然として、街の中心部に残されている歴史地区、大陸の首都だけあっての高層ビル群、凄まじい経済発展を物語る人々の活気等が合わさった魅力あふれる都市であったが、1つだけ残念なことがあった。

 冬場における中国の大気の質が悪いことは日本のニュースでも良く報じられているが、実際に行ってみたら想像以上に悪かったのだ。ひどい日には数十メートル先のものが見えないほどで、7年前よりも一段と悪くなっていると感じた。

 ドイツのスタートアップ「グリーン・シティ・ソリューションズ(Green City Solutions)」が開発した「シティ・ツリー(CityTree)」は、そんな大気汚染に直面する中国政府の悩みを、少しは晴らしてくれるかも知れない。

 「シティ・ツリー」は、高さ4メートル、幅3メートルの“コケの壁”と人が腰を下ろせるベンチで構成されている。コケは空気清浄効果が高く、「シティ・ツリー」1台で、樹木275本分の大気汚染物質を吸収するという。

 また、IoTセンサーで大気の質を常にモニタリングしてくれるため、大気環境測定器の代わりとして活用できる上に、壁の横についているモニターを広告版として利用できるため、広告収入も期待できる。

 それでいてメンテナンスにはさほど手がかからない。必要な電力は全て内蔵されている太陽光パネルで発電した電気で賄えるし、タンクに雨水を溜めておいて、適時にスプリンクラーでコケに水やりをする仕組みになっているため、わざわざ水をやりにいかなくても良い。

 既にいくつかの国が、少ない面積で高い空気清浄効果を期待できるこの商品に目をつけており、ドイツをはじめ、ノルウェー、フランス、マケドニア、香港等で設置が進められているという。

 もちろん「シティ・ツリー」だけで、北京の大気汚染を完全解決するのは無理だが、改善策の1つとして導入を検討してみてはどうかと思う。また、コケの空気清浄効果高いのであれば、ビルの屋上のふちにコケの配置し緑化を進める等、コケの有効活用を真剣に検討してみても良いかも知れない。

 

「シティ・ツリー(CityTree)」メモ

  • ドイツのスタートアップ「グリーン・シティ・ソリューションズ(Green City Solutions)」が開発したベンチ
  • 高さ4メートル、幅3メートルの“コケの壁”とベンチで構成されている
  • 1台で、樹木275本分の空気清浄効果がある
  • IoTセンサーやモニターが内蔵されており、大気環境測定器や広告版としても活用できる。
  • 内蔵されている太陽光パネルを用いて自家発電できる上に、適時に自動で水をやる仕組みなっており、メンテナンスに手間がかからない。

youtu.be

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「シティ・ツリー(CityTree)」

 

ショッピングカートだけで無人スーパーを実現?「ケイパー・スマート・ショッピングカート(Caper Smart Shopping Cart)」  

 2018年1月、Amazon GOの1号店がアメリカ・シアトルにオープンした。コンピュータ・ビジョン、ディープラーニング、センサー技術を用いて「レジに人がいない無人コンビニ」を実現したこのアイデアは、瞬く間に注目を浴び、話題の中心となった。

 消費者にも好評で、売上も好調、店舗数も徐々にではあるが増えているらしいので、Amazonの実験は成功しているようだが、Amazon GO方式にはお金が掛かるという問題がある。

 Amazon GOと同じようなやり方で無人スーパーを実現しようとすると、数百台のカメラとセンサーをお店のあちらこちらに設置しなければならない。世界的な大企業であるAmazonだからできることであって、簡単にまねできるものではない。

 一方で、アメリカのIT企業「ケイパー(Caper)」が開発した「ケイパー・スマート・ショッピングカート(Caper Smart Shopping Cart)」を利用すれば、比較的に低コストで無人スーパーを実現できる。

 「ケイパー・スマート・ショッピングカート」には、バーコードリーダーとクレジットカード決済端末、そして小さいディスプレイが設置されている。

 商品をカートに入れるときにバーコードを読み取りらせて、ショッピングが終わったら決済端末にクレジットカードを刺して決済するといったシンプルな仕組みだ。ディスプレイからは、店内の配置図や今までカートに入れた商品の金額に加え、カートに入れた商品情報に基づいたレコメンド情報が表示される。

 バーコードで読み取った商品をクラウド上のAIが分析し、即時にレコメンド情報を提供するのだという。このレコメンド情報のおかげか、既に「ケイパー・スマート・ショッピングカート」を導入しているお店では、売上が20%ぐらい増加しているらしい。

 また、現時点では、利用者自らがバーコードを読ませる必要があるが、カメラとセンサーを搭載し、カートに商品を入れるだけで商品を識別してくれるカートの開発を予定しているという。

 費用に関する情報は見つけることができなかったが、普通に考えてお店全体にカメラとセンサーを張り巡らせるよりは大分安いはずなので、日本でもどこかのスーパーで導入してみて欲しい。導入初期は話題沸騰で集客効果抜群だろうし、それ以降もリコメンド機能によって売り上げが増加するはずなので、少なくとも損はしないと思う。

 

「ケイパー・スマート・ショッピングカート(Caper Smart Shopping Cart)」

  • アメリカのIT企業「ケイパー(Caper)」が開発したスマート・ショッピングカート
  • カートには、バーコードリーダー、クレジットカード決済端末、ディスプレイが設置されている
  • 商品をカートに入れるときにバーコードを読み取りらせて、ショッピングが終わったら決済端末にクレジットカードを刺して決済するといった仕組み
  • ディスプレイからは、お店内の配置図、カートに入れた商品の金額、レコメンド情報が表示される
  • 3D画像認識カメラとスマート秤を搭載し、カートに商品を入れるだけで商品を識別してくれるカートの開発中


Caper Smart Cart - Make Shopping Magic

 

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「ケイパー・スマート・ショッピングカート(Caper Smart Shopping Cart)」

 

充電いらずのスマート・ウォッチ「マトリックス・パワーウォッチ(MATRIX Powerwatch)」

 スマート・ウォッチは、歩数をカウントしてくれたり、消費カロリーを測定してくれたり、スマホを取り出さなくてもメールを確認できたりなど、何かと便利だ。

 便利なのはわかっているが、私がそれでもスマート・ウォッチを買わないのは、毎回充電するのがめんどくさいからだ。スマート・ウォッチのユーザーに聞いてみても、やはり充電はストレスだそうだ。

 ところが、アメリカのスタートアップ「MATRIX Industries」社が発売したスマート・ウォッチ「マトリックス・パワーウォッチ(MATRIX Powerwatch)」は、充電忘れで使えなくなる心配はないという。

 「マトリックス・パワーウォッチ」は、温度差発電(サーモテクノロジ)という技術を採用している。温度差発電とは、温度差を与えた途端に電子が移動し、偏りが生じて電位差ができるという金属の特性を利用して発電する発電技術だ。

 「マトリックス・パワーウォッチ」の場合は、腕の体温と時計ケース間の温度差を利用して発電しているという。温度差発電自体は、さほど新しい技術ではないが、今までは極端な温度差が必要だったのに対し、「マトリックス・パワーウォッチ」はたった1度の差であっても発電できることと、どんなに暖かい場所でも腕と時計ケースの間に1度以上の差が出るように設計上の工夫をしているところが凄いらしい。

 ただ、まだ温度差発電だけでは、提供できる機能は限られるようで、2017年に発売された初代モデルは、消費電力が少ない白黒LCDメモリディスプレイを採用している上に、機能も加速度センサーを利用した活動量の測定や睡眠測定など、基本的なもののみに限定されていた。

 2019年1月に公開された最新モデルではベゼル(風防の周りに取り付けられるリング状のパーツ)周辺にソーラー電池を配置し、太陽光発電と組み合わせる方式を取っている。そのおかげで、フルカラーの液晶ディスプレイ、GPS、コンパス、心拍数モニタリングなどを追加で提供できるようになったという。

 製造元である「MATRIX Industries」社が目指しているのは時計メーカーではない。温度差発電技術を色んなものに適用し、普及させることを目的としており、近いうちに他のIoTデバイスにも適用するらしい。

 前回の記事(牛用ウェアラブル、IoTで畜産・酪農を変える「ファームノート」)で紹介した牛用ウェアラブル機器にもすぐに適用できそうだし、家の中の温度と外の気温差を利用した家庭用電気の発電でも使えるのではないかと思う。今後の更なる技術の発展・普及が楽しみだ。

 

マトリックス・パワーウォッチ」メモ

  • アメリカのスタートアップ「MATRIX Industries」社が発売したスマート・ウォッチ
  • 温度差発電技術を採用しており、腕の体温と時計ケース間の温度差を利用して発電した電気で充電される
  • 機能としては、活動量測定、睡眠測定、GPS、コンパス、心拍数モニタリングなどを提供している


Matrix PowerWatch 2 - The Most Powerful Watch in the World

 

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マトリックス・パワーウォッチ2」

 

分子の組み合わせで作るウィスキー「グリフ(Glyph)」

 ウィスキーについて語れる男はカッコいい。私もそんな男に憧れるし、なりたい気持ちもある。

 ウィスキーについて語れるようになるには、色んな種類のウィスキーを飲んでみなければならない。また、なかには何回か飲んでみたら癖になるものも存在するので、同じ銘柄のものを複数回飲んでみる必要がある。

 しかし、ウィスキーは、ワインと同様、銘柄や年数によっては、相当高い物も存在する。もともとお酒が好きで、お酒に注ぎ込むお金を惜しまない人には問題にならないが、私を含め、お酒がそこまで好きでない人にとっては、そこそこ負担に感じる金額が必要になったりする。

 そのような理由で、「ウィスキーについて語れる男」は、単なる憧れに留まっているが、数年後には、色んなウィスキーを安価に楽しめる時代が訪れるかも知れない。アメリカのスタートアップ「エンドレス・ウエスト(Endless West)」が、安価かつ短期で作れるウィスキー「グリフ(Glyph)」を開発したのだ。

 通常、ウィスキーを製造するには、醸造、蒸留、熟成という時間もお金もかかるプロセスを踏む必要があるが、「グリフ」は、それらのプロセスを踏む代わりに、高級ウィスキーの分子構造を解明し、植物や酵母から抽出した分子を用いて同じ分子構造を再現することでウィスキーを作りだしている。

 現在は、サンフランシスコ近郊など、限定的な地域で販売されており、値段は約40ドル程度。スパイス、シェリー、バニラ、スモークなどの淡い風味までも再現しているなど、味に対する評判が良く、他のウィスキーに比べて売れ行きも良いという。

 この製法の場合、分子構造がいわゆるレシピの代わりとなるが、現在の技術では正確な分子構造解明には、結構な時間を要するようで、色んな種類の人工ウィスキーに出会うのはもう少し先のことになりそうだ。

  人工ウィスキーが普及し、私が「ウィスキーについて語れる男」になれる日も待ち遠しいが、飲料や液体を分子の組合わせで再現する技術の普及も非常に楽しみだ。製法が企業秘密になっているコカ・コーラを再現してみるのも面白いし、高麗人参エキスなど単価が高い栄養ドリンクを再現し、安価に普及することができたら人々の健康がより増進するかもしれない。

 

「グリフ(Glyph)」メモ

  • アメリカのスタートアップ「エンドレス・ウエスト(Endless West)」が開発した人工ウィスキー
  • 高級ウィスキーの分子構造を解明し、植物や酵母から抽出した分子を用いて同じ分子構造を再現する製法で作っている
  • 時間もお金もかかる醸造、蒸留、熟成を省略できるため、短時間且つ安価にウィスキーを製造できる
  • ウィスキーの香りなど、細かいところまでも再現できており、消費者からの評判もよい

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「グリフ(Glyph)」

再配達のストレスから解放?「オキッパ(OKIPPA)」

 私も他の現代人たちと同様、たくさんのストレスに埋もれて生きている。ストレスの要因は様々だが、仕事が忙しいせいで宅急便を受け取れず、毎度再配達依頼をするのもストレスの一つだ。

 「そんなにストレスだったら、宅配BOXが設置されているマンションに引っ越せば?」と思うかも知れないが、引っ越しはもっとストレスだ。(私がめんどくさがり屋なのが問題なのかも知れない・・・)

 私のストレスはさておき、宅急便業界の生産性向上のためにも、再配達は減らした方が良い。再配達は、他の仕事でいう手戻りで、宅配業者の過重労働の主な原因になっているが、「Yper株式会社」が開発した「オキッパ(OKIPPA)」が、そんな再配達の問題を解決してくれるかも知れない。

 「オキッパ」は、税込み4,000円弱の施錠可能な専用袋と宅急便の配達状況を追跡できる専用アプリで構成されている。専用袋が簡易的な宅配BOXとなり、不在時でも荷物を受け取れるようになる。

 専用袋には、付属品として南京錠がついており、それを開けたままで袋にいれておけば、宅配業者が荷物を入れた後に袋を施錠する仕組み。また、玄関と袋を繋げる頑丈なチェーンもついているなど、それなりの盗難対策がなされている。

 ここまで書いてみると、私のストレスのもとを根絶してくれる救世主のようだが、まことに残念ながら、オートロックのマンションにはまだ対応していないという。オートロックのせいで家の玄関まで辿りつけず、結局、再配達になってしまうらしい。

 ただ、「Yper株式会社」もその問題を認識しているようで、オートロック向けのソリューションの展開を急いでいるようだ。荷物固有の配送伝票番号を判別対象とし、その荷物がその建物に配送されるものかどうかを識別して解除するシステムを開発している。2018年末に2ヵ月を掛けて試行運用を行っているらしいので、もうじき本格展開されると思われる。

「お、ということは、私も使えるようになるのか?」と一瞬嬉しくなったが、良く考えてみると、マンション管理会社がそのシステムを導入するという判断をしなければ私は使えない。私としてはがっかりだが、私なんかよりも日本の宅配便業界を救うことが重要なので、ぜひ普及して欲しい。

 

「オキッパ(OKIPPA)」メモ

  • 「Yper株式会社」が開発した、宅配BOXの代わりとなる宅配袋
  • 施錠可能な専用袋と宅急便の配達状況を追跡できる専用アプリで構成されている
  • 専用袋には、盗難防止策として、袋自体を施錠する南京錠と、袋と玄関をつなぐケーブルが同封されている
  • 現在は、一軒家やオートロックなしの集合住宅では使えるが、オートロック付きのところでは使えない
  • オートロック付きの集合住宅でも使えるよう、配送伝票番号を用いて、宅配便がそのマンションに届けられるべきものかを識別し、オートロックを解除するシステムを開発し、普及する予定


『OKIPPA』プロモーションビデオ (字幕付き)

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「オキッパ(OKIPPA)」利用イメージ

 

在庫処分対象の衣類が新商品に化ける「リネーム(Rename)」

  人生で何回かブランドのクリアランス・セールに行ったことがあるが、満足したことは一度もない。そもそも売れ残り品なので、気に入りのデザインの服はごくわずかだし、良いデザインの服が見つかったとしてもサイズがない。

 また、高価ブランド品は、元の値段に比べたら大分安くはなっているものの、依然として自分が使っていいと思っている値段よりは高いことが多く、結局は手ぶらで帰ってくることが多い。そんな経験が積み重なり、最近は、クリアランス・セールに招待されても行かないようになっている。

 しかし、私がクリアランス・ケースを避ける要因を全て取り除いてくれる、ファッション・ブランドが登場した。「株式会社FINE」が展開する、「リネーム(Rename)」だ。

 「リネーム」の特徴は、在庫処分対象の衣類のブランドタグや洗濯表示タグを付け替えて、「リネーム」ブランドの新商品として売り出すこと。

 高価ブランドは、ブランド・イメージを守る必要があり、在庫処分対象であれども、果敢に値段を下げることはできないが、タグを付け替えてブランド名を変えることにより、そのような制約がなくなり、よりリーズナブルな値段で提供できるのだという。ものによっては、元のブランドの商品として売るときの1/3の価格まで下げられるらしい。

 また、「リネーム」の価値は、ただ服を安く買えることのみではない。日本の衣類廃棄量は、年間で100万トンにも達しているらしいが、廃棄されるはずだった服が、「リネーム」を通して再度市場に出すことで、衣類廃棄量の削減にも貢献している。

 サイト(https://www.rename.jp/shop/)を覗いてみると、男性ものはあまりないようだが、女性ものは種類が豊富で、中には好きな女性に着て欲しいと思うものもちらほらある。服が好きな人にとって、良いものを安く買える手段が増えたことは間違いなさそうだ。

 

「リネーム(Rename)」メモ

  • 「株式会社FINE」が展開するファッション・ブランド
  • 他のブランドの在庫処分対象の衣類を買取し、ブランドタグや洗濯表示タグを付け替えて、「リネーム」ブランドの新商品として売り出すことが特徴
  • 元々は高価ブランド品であっても、ブランドを取り換えることにより、ブランド・イメージを傷つけることなく、果敢に値段を下げることができる
  • 在庫処分対象の衣類を再度市場に流通させることで、衣類廃棄量の削減にも貢献している


Rename - ブランドネームではない、服の新しい売り方

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「リネーム(Rename)」の仕組み