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牛用ウェアラブル、IoTで畜産・酪農を変える「ファームノート」

 諸事情があって、去年(2018年)の年末は、北海道の帯広市で過ごした。初の帯広訪問で、土地の広大さや豚肉の旨さ、六花亭を始めとするスイーツのレベルの高さなど、幾つかの驚きポイントがあったが、なかでも意外に外国人が多いことに驚いた。

 アフリカのザンビアから来ているという外国人に話を聞くと、帯広にある帯広畜産大学がJICAと連携して国際協力教育プログラムを展開しており、そのプログラムを通して、世界各国の官僚たちが日本の先進的な畜産技術を学びに来ているという。実際に彼も本国では、結構なエリート官僚らしい。

 帯広が位置する十勝地方は、日本を代表する食料生産基地としても有名だが、どうやら日本の食料生産技術を世界に発信する発信基地の役割も果たしているようだ。

 さて、前置きが長くなったが、日本の食料生産基地であり食料生産技術発信基地でもある帯広で、正に帯広らしいサービスを展開しているスタートアップ企業が注目を集めている。

 これまでは経験と勘に頼っていた畜産・酪農業界にIoT技術の適用を試みている、「株式会社ファームノート」だ。

 「株式会社ファームノート」は、牛の首に着けるセンサーである「ファームノートカラー」と、センサーで収集したデータを分析・管理するクラウド型管理システムである「ファームノート」を提供している。

 「ファームノートカラー」は、加速度センサーを内蔵しており、牛の食事の反芻(はんすう)や睡眠などの活動データを収集する。

 収集されたデータは、自動的にクラウド上の「ファームノート」に記録され、牛の健康状態や発情期の判断に使われる。これらの判断は、AIが行っているという。

 何か異常が発生すれば、手持ちのスマートフォンやPCに通知がくる仕組みになっており、ケアが必要な牛を特定することができる。

 牛は大変デリケートな生き物で、結構手間がかかるので、ケアが必要な対象とタイミングを特定できるだけでも畜産・酪農の生産性向上に繋がるという。

 また、生乳の生産は、乳牛の妊娠が大きく関係するため、発情期を見極めて教えてくれるのも嬉しい。

 畜産・酪農の素人である私の目には、大変役に立つサービスのように見えるが、帯広に留学に来ている各国の官僚たちの目にはどのように映っているのだろうか。「株式会社ファームノート」は、海外進出も目指しているようだが、帯広にいる彼らにアピールするのが一番効果的かも知れない。

 

「ファームノート」メモ

  • 帯広のスタートアップ企業が手掛ける牛の活動データ収集・分析サービス
  • 「ファームノートカラー」というセンサーを牛の首に着けておくと、牛の食事の反芻(はんすう)や睡眠などの活動情報を収集してくれる。
  • 収集されたデータは、クラウド上のデータ管理システム「ファームノート」に自動送信され、AIによって分析される。
  • 何か異常があった場合や発情期が訪れた場合などは、スマートフォンやPCに通知が届く。

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「ファームノート」の仕組み